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上昇角は最大60°程度で、45°程度が普通である。その間、機速は増加するので、速度計を読みとり、ウインチヘ連絡する。1,1〜0.8Vwの範囲ならば、そのままの姿勢でよい。その範囲以上でも以下でもよくない。
この際の上昇姿勢は、横方向に見える翼と水平線の成す角度で判定する。しかし、離脱点に達するに従って上昇角は浅くなり、離脱点ではほぼ水平に近い姿勢となる(3−37図)。点線で示した航跡は理想的なコースであり、最初のうちは実線で示したようなコースをとる。フラップを使用して上昇する場合は、速度に応じてしだいにフラップを閉じ、最後は全閉となる。これは理想的な方法であるが、最後まで全開のままで曳航されたほうが安全である。離脱操作後、離脱の確認をするまで直進し、完全な滑空状態になってから、他の操作または状態に移る。
曳航上昇中の速度は、安全速度に達したころまでを、初期・中期・後期(離脱の近く)の適当な時期に連絡する。これに対し、地上のウインチまたはピストから上昇方向の指示がされた場合には、あわてず、速やかに修正する。
3−32図の上昇中にはたらく諸力のつりあいのように、上昇角が深ければ深いほど、曳航索の力(張力)は大きくなる。これに対して、離脱近くのB飛行区域に近づくと、曳航索の張力は弱くなり、曳航索の重量が張力を助けることになるので、ウインチのパワーは最小に近づくことになる。したがって、ウインチおよび曳航索に対する荷重は、曳航中を通じて、最初が最大となる。3−31図でいえば、A飛行区域でしかも離陸直後が最大となる。グライダーにとって、その辺近くの索切れやエンストは非常に危険であり、大事故になりやすい。したがって、練習開始前に、索の全体にわたって、充分な点検が必要である。
また、ウインチのパワーについては、燃料はもちろんのこと、電気系統・燃料系統・油系統等についても、充分な点検を行なう。エンジンのスタート後も、充分な暖気運転をしてから、スタートすべきである。なお、最初の飛行は、指導者同乗の飛行を行ない、安全を確認してから、練習生の単独飛行を行なう。

 

 

 

 

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